「家を建て替えたいから相談をしたい」「土地を購入したから、間取りを考えたい」と打合せにお客様がお見えになることがあります。
しかし、相談する前に、間取りを考える前に「家を建てる」ためには、「3つの調査」が必ず必要です。
- 1. 敷地調査(測量)
- 2. 地盤調査
- 3. 役所調査
以上3つの調査です。これらをまとめて現地調査といい、「現調」と略称で私たちは、呼んでいます。 まずは、それぞれが、どのようなものか、説明しましょう。
1.「敷地調査」
これは、いわゆる測量のことです。
- 敷地の寸法を測る
- 境界杭の有無を確認する。
- 土地の工程差を測る。
- 道路の幅員を測る。
- 隣地建物の位置・窓の場所を測る。
- 真北の方向を測る。
- インフラ(電気・ガス・水道・電話・テレビ)の確認をする。
といった項目を現地で測量・確認し、それを図面化します。
実際プランニングを行うのに、敷地の大きさ・工程差が分からなければ、プランニングしたものが、まさに「絵に描いた餅」になってしまいます。隣地の建物と真北を測ることで、室内に光が入るか入らないかの検討も出来るようになります。インフラで足りないものがあれば、設備工事として費用がかさみますので、その予測を付けることが出来ます。
2.「地盤調査」
「強い地盤」なのか「弱い地盤」なのかの調査で、建物を支える基礎部分の設計に大きく係わります。
私たち設計者は、「敷地が、川や田畑の近くか、近隣の塀が歪んでいたり、亀裂が入っていないか、電信柱が斜めに立っていないか」、などの近隣状況を見て、その敷地が客観的に強い地盤か弱い地盤かの「あたり」はつけています。
基礎を通常の布基礎なのか?べた基礎なのか?それとも杭が必要なのか?といった、基礎の設計に必要なデータを得るために地盤調査はかかせません。
それをどのような方法で調査・測定するのかというと、木造などでは、「スウェーデン式サウンディング調査」、鉄筋コンクリート構造・鉄骨造などでは、「ボーリング調査(標準貫入試験)」を行います。新築計画に際し、あらかじめ、建てたい建物の構造が、木造なのか鉄筋コンクリート造なのかなども、設計者は検討しておく必要があります。全体の計画がまとまった後に地盤調査をして、地盤が弱く、補強が必要となってしまった場合には、コストアップは勿論、設計変更にも時間が掛かりますし、着工も延びてしまいます。時間・建設コストと無駄なく計画を行うのにとてもとても重要な役割を「地盤調査」は持っています。
3.「役所調査」
新たに建てる建物の敷地・建物に対し、どのような法律が掛かってくるかを調べるのが、「役所調査です。」
日本全国、どこでも、建物を建てようとしたら法律が掛かってきます。建築基準法だけではありません。都市計画法・各行政庁条例などいろいろあります。
あたりまえですが、法的に適合しないものは、建築することは出来ません。その法律が、全国一律ではありません。「隣街では良くて、こちらの街では駄目」ということが実際にあります。ですから、全ての建築計画において、役所調査は必要です。
以上、3つの調査の重要性をお分かりいただけたと思います。調査し終えて、その内容に基づいて「間取り・資金計画」の検討を行うのが一般的な流れです。
では、この3つの調査は「だれがやってくれるのか?」「幾ら?」でというと、測量事務所か、地盤調査事務所が行っていて、費用は、敷地状況によりますが、概算で10万円前後といえるでしょう。但しこの金額の場合の地盤調査は「スウェーデン式サウンディング調査」になります。
「新築に際して、現地調査をお願いしたい」というお話をいただければ、上記事務所に頼むことになります。これを無料で行うメーカー・工務店もあります。お客さまにとっては一見メリットがあるように見えるかもしれません。でも、契約時にはしっかり、その分の費用が入っていることは、言うまでもありません。
まずは、3つの調査からはじめることをお勧めします。